コンテンツへスキップ
川原社会保険労務士事務所
ホーム » 公益通報者保護法の改正と企業に求められる対応

公益通報者保護法の改正と企業に求められる対応

~ 信頼される企業づくりに向けて ~

2025年6月、公益通報者保護法が改正されました。この改正は、企業活動の透明性とコンプライアンス意識を一層高める重要な契機となります。通報者の保護が強化されたことで、企業にはこれまで以上に明確な制度整備と適切な運用が求められます。

この記事では、改正のポイントと企業が取るべき対応について分かりやすく解説します。

改正の主なポイント

  • 1 保護対象の拡大
    これまでの従業員に加え、フリーランスや業務委託などの「特定受託業務従事者」も新たに保護の対象となりました。企業との雇用関係がない働き手からの通報であっても、適切に対応する義務が生じます。
  • 2 不利益取り扱いへの罰則強化
    公益通報を理由とする解雇や減給、配置転換などの不利益な取り扱いに対して、刑事罰を含む厳しい制裁が科されるようになりました。
  • 3 体制整備の義務化(中規模以上の企業)
    従業員数301人以上の企業は、内部通報に対応するための体制整備(通報窓口の設置や運用ルールの整備)が義務となっています。小規模企業も努力義務として同様の整備が求められます。

企業が取り組むべき実務対応

  • 1 就業規則や規程の見直し
    通報制度の存在とその利用方法、不利益取り扱いの禁止などを、社内規程に明文化することが求められます。
  • 2 通報対応窓口の整備と運用
    社内・社外の通報窓口を明確にし、匿名性や通報内容の秘密保持を徹底する体制を整えることが重要です。
  • 3 社内教育の実施
    従業員が安心して通報できる環境をつくるために、制度の内容や意義を理解できる研修・説明会を定期的に実施しましょう。管理職には対応方法のトレーニングも必要です。

改正法対応は「信頼される企業づくり」の第一歩

通報者保護制度は、企業にとってリスク回避の手段であると同時に、信頼される組織文化を育む重要な仕組みです。誠実で開かれた姿勢を示すことで、社内外からの信頼性が高まり、コンプライアンス経営の基盤となります。

今回の改正を機に、企業は制度整備だけでなく、通報しやすく、守られる環境づくりを進めることが求められています。