近年、顧客や取引先からの暴言、過度な要求、長時間の拘束など、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が社会問題となっています。
こうした状況を受け、企業に対してカスハラ対策を求める法整備が進められており、今後は企業による対策が義務化される見込みです。
従業員を守り、安心して働ける職場環境を整備するためにも、企業は早めの準備が重要となります。
カスタマーハラスメント(カスハラ)とは
カスタマーハラスメントとは、顧客や取引先などからのクレームや言動のうち、社会通念上不相当な手段・態様により、従業員の就業環境を害するものをいいます。
例えば次のような行為が該当する可能性があります。
- 大声による威圧や暴言
- 長時間にわたる執拗なクレーム
- 土下座の要求
- SNS等への誹謗中傷
- 従業員への人格否定や差別的発言
- 不当な金銭要求や過剰なサービス要求
一方で、正当な意見や要望、苦情申立てそのものがカスハラに該当するわけではありません。
企業が今から取り組むべき対策
カスハラ対策の義務化に向けて、企業には次のような対応が求められます。
1 基本方針の策定・周知
企業としてカスハラを許容しないという基本方針を明確にすることが重要です。従業員を守る姿勢や、カスハラが発生した場合の対応方針、悪質な事案に対する企業としての対応姿勢などを社内規程やホームページ等において明文化し、社内外へ周知しておくことが求められます。
2 相談体制の整備
従業員がカスハラを受けた際に一人で抱え込むことがないよう、相談窓口や報告体制を整備することが重要です。相談を受けた際の対応手順についてもあらかじめ整理しておくことで、現場対応の遅れや判断のばらつきを防ぐことができます。
3 対応マニュアルの作成
現場ごとに対応が異ならないよう、初動対応から上司への報告、必要に応じた外部機関への相談までの流れを整理した対応マニュアルを作成することが有効です。特に電話対応や来訪時の対応など、具体的な場面を想定しておくことで実効性が高まります。
4 従業員教育の実施
カスハラが発生した際に適切な対応ができるよう、従業員に対する教育や研修の実施も重要です。管理職だけでなく、顧客対応を行うすべての従業員を対象とすることで、組織全体としての対応力向上につながります。
記録の保存も重要
カスハラが発生した場合には、発生日時、相手方の言動、対応内容、対応の経過などを記録として残しておくことが重要です。これらの記録は再発防止の検討材料となるだけでなく、トラブルが深刻化した際の証拠としても有効に活用できます。
企業として早めの準備を
カスハラ対策は、従業員の安全確保やメンタルヘルス対策の観点からも重要な取り組みです。
義務化が本格化してから対応するのではなく、基本方針の策定や相談体制の整備、対応マニュアルの作成などを早めに進めておくことが求められます。
カスハラ対策や労務管理体制の見直しについてご不明な点がございましたら、下記のお問い合わせフォームまたはお電話にて当事務所までお気軽にご相談ください。
